長期優良住宅と耐震等級の関係性とは?認定を受けるための条件やメリットを解説

長期優良住宅

 

耐震等級など、一定の条件を満たした住宅は「長期優良住宅」として認定されます。長期優良住宅として認定されると、減税や地震保険の割引を適用できるなどのメリットがあるため、長期優良住宅の基準を満たす住宅へのリフォームを希望する方は多いです。

それでは、長期優良住宅に認定されるためには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。長期優良住宅のメリットや注意点にもフォーカスしながら、詳しく解説します。

 

長期優良住宅とは

芝生と家の模型

 

長期優良住宅とは、メンテナンスがしやすい構造を持ち、長年にわたって性能を維持できる住宅のことです。「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に明記された基準をクリアしている場合に認定され、減税や地震保険料の割引といった恩恵を受けられます。

国土交通省が発表した令和5年3月時点のデータによると、新築戸建てにおける着工戸数のうち、29.3%が長期優良住宅として認められました。一方で、リフォームにより長期優良住宅の認定を受けた住宅の数は、累計でも1,586戸にとどまっています。

 

木造住宅が長期優良住宅に認定されるためには「耐震等級2以上」が必須

木造住宅が長期優良住宅の認定を受けるためには、耐震等級2以上の基準に適合したうえで、以下の基準をクリアしなければなりません。

 

【木造住宅が長期優良住宅に認定されるための条件】

耐震等級 2または3であること
限界耐力計算 ・各階の安全限界変形の高さの割合が40分の1以下であること
・各階の安全限界変形の75%以下で検証を行うこと
・等級2以上かつ各階の安全限界変形の高さの割合が30分の1以下であること

※上記のうちいずれか1つ以上を満たすこと
その他 免震建築物であること

 

長期優良住宅に認定されるためには、少なくとも耐震等級を2以上に引き上げる必要があります。

 

構造計算を省く場合は「耐震等級3」でなければならない

2022年10月に行われた法改正により、構造計算を省いて長期優良住宅の認定を申請する場合は、耐震等級3の取得が必須となりました。多くの木造住宅では構造計算を行わないため、耐震等級3を取得しなければ、事実上長期優良住宅には認められません。

 

耐震等級2以上の認定を受けて長期優良住宅にするメリット4つ

メリット

 

長期優良住宅として認定されるためには、耐震等級2または3の認定を受けなければなりません。場合によっては耐震補強工事が必須となりますが、手間と費用をかけてでも長期優良住宅の認定を受けるメリットは4つあります。

 

<耐震等級の認定を受けて長期優良住宅にするメリット>

  1. 強い地震に襲われたとしても建物や人命を守りやすくなる
  2. 所得税や固定資産税を引き下げられる
  3. 地震保険料が30%~50%割引される
  4. 自治体から補助金が給付される可能性がある

 

順番に分かりやすく解説します。

 

①強い地震に襲われたとしても建物や人命を守りやすくなる

震度6強~7クラスの強い地震に襲われた際に建物が倒壊しにくく、人命を守りやすくなる点が最大のメリットです。そもそも耐震等級とは、地震に対する強さを示す目安であり、等級により以下のように評価されています。

 

【耐震等級の種類】

耐震等級1 数百年に1度発生する強い地震が発生した際、倒壊・崩壊を免れる程度
耐震等級2 耐震等級1に対して1.25倍の地震力に耐えられる程度
耐震等級3 耐震等級3に対して1.50倍の地震力に耐えられる程度

 

東日本大震災クラスの地震に耐えられる基準と比較して、さらに1.25倍~1.50倍も強固な住宅が長期優良住宅です。

 

②所得税や固定資産税を引き下げられる

各種税金の軽減措置を適用できることも、長期優良住宅のメリットです。原則として、新築など新たに不動産を取得した場合に限られる減税措置ですが、所得税・登録免許税・不動産取得税を引き下げられるほか、固定資産税の引き下げ期間も通常の3年間から5年間に拡大できます。

 

③地震保険料が30%~50%割引される

地震保険料は、耐震等級に応じて割引されます。割引率は次のとおりです。

 

【地震保険の割引率】

等級 耐震等級1 耐震等級2 耐震等級3
割引率 10% 30% 50%

 

耐震等級3に認定された場合、地震保険料は通常の半額にまで下がります。

 

④自治体から補助金が給付される可能性がある

タイミングによっては、長期優良住宅化に向けたリフォームや、新築にかかる費用の一部に補助金が給付される場合があります。現在は終了していますが、「こどもエコすまい支援事業」では、リフォーム費用のうち最大で60万円が補助金として給付されていました。新しい補助金制度がスタートする可能性もあるため、行政や自治体による情報を確認するとよいでしょう。

 

長期優良住宅に関する4つの注意点

POINTのブロック

 

長期優良住宅にはさまざまなメリットがあり、耐震等級を高めてでも認定を受ける価値があります。ただし、以下の4点には注意しなければなりません。

 

<長期優良住宅に関する4つの注意点>

  1. 耐震等級はあくまでも目安のひとつに過ぎない
  2. 耐震性以外の性能も高めなければならない
  3. 維持保全計画に則って定期点検をしなければならない
  4. 住宅のデザインが制限される可能性がある

 

順番に確認しておきましょう。

 

①耐震等級はあくまでも目安のひとつに過ぎない

耐震等級は、あくまでも目安のひとつです。地震が自然災害である以上、耐震等級が高いからと言って、確実に倒壊や崩壊を免れられるとは限りません。また経年劣化などにより、新築時と比較して耐震性能が低下している可能性もあるため、定期的に耐震精密検査を受けることが大切です。

 

②耐震性以外の性能も高めなければならない

長期優良住宅として認定されるためには、耐震性以外の性能を高める必要もあります。バリアフリー性や省エネルギー性なども、所定の基準に合致しなければ長期優良住宅に認定されません。耐震性が高ければ、長期優良住宅に認定されるとは限らないため注意しましょう。

 

③維持保全計画に則って定期点検をしなければならない

長期優良住宅として認められるためには、認定後の住宅性能を維持するための計画書にあたる「維持保全計画」の提出が必要です。維持保全計画には、主要構造材を10年に1度の頻度で点検するよう記さなければならず、計画に沿って定期点検を行う義務が生じます。

 

④住宅のデザインが制限される可能性がある

耐震等級2~3に認定されるためには、耐震性を高めるために筋交いや構造用合板を使った壁の補強工事が必要です。これらの箇所には、窓や吹き抜けを設置できない可能性があるため、理想どおりのデザインを実現できない場合があります。

 

まとめ

長期優良住宅に認定されるためには、前提条件として耐震等級2~3に認定されなければなりません。長期優良住宅にはメリットと注意点があるため、それぞれを確認したうえで、リフォームによる耐震補強工事を検討しましょう。

アーバンリフォームでは、耐震等級2~3を取得するための耐震補強工事を行っています。お客様が理想とする性能の住宅を、ご予算の範囲内で実現すべく全力を尽くしておりますので、長期優良住宅化を目指す方はぜひご相談ください。

 

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