住宅を売却したり、中古住宅を購入したりする際に重要視されるのが「耐震基準適合証明書」です。耐震基準適合証明書を取得することで、その建物が耐震基準を満たしていることを証明できます。これにより、住宅に対する信頼度は大きく上がります。
それでは、耐震基準適合証明書はどうすると取得できるのでしょうか。この記事では、耐震基準適合証明書の取得方法や取得にかかる費用をご紹介するほか、耐震基準適合証明書を取得するメリットや、耐震基準を満たしていない場合の対処法もお伝えします。
耐震基準適合証明書とは
耐震基準適合証明書とは、その建物が耐震基準に適合していることを証明する書類です。1981年以前に建築された建物は、強い地震に耐えられる「新耐震基準」に適合していない可能性があります。耐震基準適合証明書を取得できれば、建物の耐震性への不安を払しょくできます。さらに、後述するようなメリットも得られます。
耐震基準適合証明書の取得方法
耐震基準適合証明書は、建築事務所所属の建築士、国土交通大臣の指定や登録を受けた確認検査機関、住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人のみが発行できます。取得の方法は以下のとおりですが、まず耐震診断を実施しているリフォーム会社などに相談してみることをおすすめします。
<耐震基準適合証明書の取得方法>
- リフォーム業者などに相談をする
- 耐震診断を依頼する
- 現地調査を行う
- 耐震基準適合証明書の発行を依頼する
- 取得費用を支払う
- 耐震基準適合証明書が発行される
耐震基準適合証明書の発行にかかる期間
建物の規模や依頼する会社によっても異なりますが、耐震基準適合証明書の取得までにかかる期間の目安は1週間~2週間ほどです。耐震診断の結果、耐震補強工事が必要と判断された場合は、工事期間として1ヶ月~2ヶ月を別に要します。
耐震基準適合証明書の発行にかかる費用
耐震基準適合証明書の取得だけであれば、費用は3万円~5万円です。ただし、それとは別に耐震診断の費用がかかります。さらに、耐震補強工事を行う場合、相場は100万〜200万円と言われています。
自治体によっては耐震診断の費用を負担することもある
自治体によっては、耐震診断にかかる費用を負担してくれる補助金制度があるところもあります。また、耐震補強工事が必要な場合も、自治体の補助金制度を活用できる可能性があります。東京都町田市でも、耐震診断や耐震工事への補助金制度があるので、詳しくは当社にお問い合わせください。
耐震基準適合証明書を取得するメリット
耐震基準適合証明書を取得するメリットは以下の5点です。住宅の売却を検討している人だけでなく、中古住宅の購入を検討している人にとっても取得するメリットがあります。取得方法を確認しながらリフォーム会社に依頼しましょう。
<耐震基準適合証明書を取得するメリット>
- 自宅を売却しやすくなる
- 住宅ローンの審査が有利になる
- 住宅ローン控除を適用できる
- 不動産取得税・登録免許税の特例措置を受けられる
- 地震保険料が安くなる
自宅を売却しやすくなる
自宅の売却を検討している人にとってのメリットは、買主をスムーズに見つけられる可能性が高くなることです。現行の耐震基準を満たしていることを証明することにより、買主は安心して購入を検討できます。極端な値下げ交渉に応じずに済む可能性もあり、取得費用を上回るメリットを得られるでしょう。
住宅ローンの審査が有利になる
住宅ローンの融資条件として「新耐震基準に適合していること」を掲げる金融機関が多いです。この場合、耐震基準適合証明書を取得して提出しなければ、住宅ローンの申し込みを受け付けてもらえません。
「フラット35」など一部の商品は旧耐震基準の住宅でも申し込みを受け付けていますが、これも独自に設けられた審査基準に適合しなければ住宅ローンを契約できません。そのため、あらかじめ耐震基準適合証明書を取得しておくと、住宅ローンの審査が有利になります。
住宅ローン控除を適用できる
たとえ旧耐震基準で建てられた住宅を購入する場合でも、耐震基準適合証明書を取得することで、住宅ローン控除の適用が可能です。例えば2025年12月31日までに入居する場合、年間で最大14万円が、最長で10年間にわたり所得税から控除されます。なお、旧耐震基準で建てられた家の購入に住宅ローン控除を適用するための方法としては、以下があります。
<住宅ローン控除を受ける方法>
- 耐震基準適合証明書を取得済みの中古住宅を購入する
- 売主に耐震補強工事を依頼して、引渡しの前までに耐震基準適合証明書を取得する
- 入居後に買主が耐震補強工事を行い、耐震基準適合証明書を取得する
不動産取得税・登録免許税の特例措置を受けられる
耐震基準適合証明書を取得すると、不動産取得税と登録免許税の特例措置が受けられます。これは先述した住宅ローン控除と併用できるため、耐震基準適合証明書の取得費を上回る金銭的なメリットを得られるでしょう。
地震保険料が安くなる
地震保険料は、建物の性能により割引が適用されます。旧耐震基準の住宅は割引の対象外ですが、耐震基準適合証明書を取得していると、地震保険料が10%割引されます。地震保険料は毎年支払い続けるものなので、長年にわたりメリットを享受できます。
耐震基準が不足している場合は「耐震補強工事」で改善できる
耐震診断により、耐震基準が不足していると判断された場合は、リフォーム業者に耐震補強工事を依頼しましょう。耐震補強工事を行い、新耐震基準相当の耐震性能があると認められた場合は、耐震基準適合証明書を取得できます。耐震補強工事の内容は次のとおりです。
<耐震補強工事の内容>
- 壁の増設
- 基礎の補修
- 屋根の軽量化
- 金具を使った補強 など
どの方法で耐震補強を行うのかは、建物の劣化状況や予算を考慮して決定します。
これから住む住宅の耐震補強工事を依頼する場合は、リビングや寝室など一部の部屋を重点的に補強する「減災」を目指した工事もおすすめです。建物全体を補強する場合と比較して予算を抑えられるため、住宅の購入や引越しなどにかかる費用を確保しながら、安心して住める住宅へと改良できます。
まとめ
耐震基準適合証明書は、その建物が新耐震基準を満たしていることを証明する書類です。取得を希望する場合は、建築士が在籍するリフォーム会社などに相談しましょう。耐震診断を受けたうえで書類を発行してもらうのが基本的な流れであり、取得費の一部は補助金で賄える可能性もあります。
アーバンリフォームでは、国土交通省住宅局監修の「木造住宅の耐震精密診断と補強方法」に準拠した耐震診断を実施しています。診断結果によっては、お客様のご予算の範囲内で耐震補強工事をご提案することも可能なため、まずはお気軽にお問い合わせください。