地震地域係数とは?過信すべきでない理由や安全性を高める対策をご紹介

スマホの表示された震度6

 

住宅の耐震強度を決める指標のひとつに「耐震地域係数」があります。耐震地域係数は日本全国の地域に設定されており、これをもとに耐震基準を決めて、建物を建設することが一般的です。

しかし、地震地域係数は過信すべきではない指標と言われることも、めずらしくありません。その理由はなぜか、地震地域係数の概要とともに解説し、住宅の安全性を高めるための対策をご紹介します。

 

地震地域係数とは

家 はてなマーク

 

地震地域係数とは、地震の発生リスクに応じて、日本全国の地域に割り振られている係数のことです。建物の耐震基準は建築基準法により定められていますが、地震地域係数が低い地域に関しては、耐震基準を下回った状態で建築してもよいと決められています。

たとえば、東京都の地震地域係数は1.0ですが、沖縄県の地震地域係数は0.7です。つまり、東京都と比較して、沖縄県はより緩い条件で合法的に建物を建設できることになります。

 

日本全国の地震地域係数一覧表

日本全国の地震地域係数を見てみましょう。

 

【地震地域係数一覧表】

地震地域係数 地域
1 以下に該当しないすべての市区町村
0.9 北海道

札幌市 函館市 小樽市 室蘭市 北見市 夕張市 岩見沢市 網走市
苫小牧市 美唄市 芦別市 江別市 赤平市 三笠市 千歳市 滝川市
砂川市 歌志内市 深川市 富良野市 登別市 恵庭市 伊達市
札幌郡 石狩郡 厚田郡 浜益郡 松前郡 上磯郡 亀田郡 茅部郡 山越郡
檜山郡 爾志郡 久遠郡 奥尻郡 瀬棚郡 島牧郡 寿都郡 磯谷郡 虻田郡
岩内郡 古宇郡 積丹郡 古平郡 余市郡 空知郡 夕張郡 樺戸郡 雨竜郡
上川郡(上川支庁)のうち東神楽町、上川町、東川町及び美瑛町
勇払郡 網走郡 斜里郡 常呂郡 有珠郡 白老郡

青森県 青森市 弘前市 黒石市 五所川原市 むつ市 東津軽郡 西津軽郡
中津軽郡 南津軽郡 北津軽郡 下北郡
福島県 会津若松市 郡山市 白河市 須賀川市 喜多方市 岩瀬郡 南会津郡
北会津郡 耶麻郡 河沼郡 大沼郡 西白河郡
富山県 魚津市 滑川市 黒部市 下新川郡
石川県 輪島市 珠洲市 鳳至郡 珠洲郡
鳥取県 米子市 倉吉市 境港市 東伯郡 西伯郡 日野郡
徳島県 美馬郡 三好郡
香川県 高松市 丸亀市 坂出市 善通寺市 観音寺市 小豆郡
香川郡 綾歌郡 仲多度郡 三豊郡
熊本県 地震地域係数0.8に該当しないすべての地域
大分県 地震地域係数0.8に該当しないすべての地域
その他 秋田県、山形県、新潟県、島根県、岡山県、広島県、
愛媛県、高知県、宮崎県全域
0.8 北海道 旭川市 留萌市 稚内市 紋別市 士別市 名寄市
上川郡(上川支庁)のうち鷹栖町、当麻町、比布町、愛別町、
和寒町、剣淵町、朝日町、風連町及び下川町
中川郡(上川支庁)増毛郡 留萌郡 苫前郡 天塩郡 宗谷郡
枝幸郡 礼文郡 利尻郡 紋別郡
熊本県 八代市 荒尾市 水俣市 玉名市 本渡市 山鹿市 牛深市 宇土市
飽託郡 宇土郡 玉名郡 鹿本郡 葦北郡 天草郡
大分県 中津市 日田市 豊後高田市 杵築市 宇佐市 西国東郡 東国東郡
速見郡 下毛郡 宇佐郡
鹿児島県 名瀬市及び大島郡を除く全域
その他 山口県、福岡県、佐賀県、長崎県全域
0.7 沖縄県 全域

 

地震地域係数は定期的に見直されている

地震地域係数は1952年にはじめて発表され、1980年と2007年にそれぞれ見直されています。その間には、旧耐震基準から新耐震基準への変更も行われましたが、地震地域係数そのものの内容には大きな変更が見られません。

 

地震地域係数は信頼できる指標なのか

地震で地割れした道

 

先述したとおり、地震地域係数は1952年の発表以降、内容に大きな変更が加えられていません。さらに、以下のような問題点も指摘されており、過信できる指標とは言えないことも確かです。

 

<地震地域係数を過信すべきでない理由>

  • 3大都市圏以外には不確かな情報をもとに地震地域係数を算出している
  • 熊本地震の被害により問題が指摘されている
  • 令和6年能登半島地震でも「地震地域係数0.9」の地域で震度6強が発生した
  • 静岡県では独自に地震地域係数を算出している

 

上記4点をさらに詳しく解説します。

 

3大都市圏以外には不確かな情報をもとに地震地域係数を算出している

地震地域係数が発表された1952年当時、震度に関する詳細な情報を把握できたのは、3大都市圏のみでした。それ以外の地域に関しては、当時の地震学では必要なデータが足りておらず、不確かな情報をもとに地震地域係数が算出されています。

 

熊本地震の被害により問題が指摘されている

2016年に発生した熊本地震では、8,672棟もの住宅が全壊しました。しかし、このエリアの地震地域係数は0.8~0.9に設定されています。仮にこの地域の地震地域係数が1.0で、それに準ずる設計や耐震補強工事が行われていた場合、被害を抑えられていた可能性も考えられます。

 

令和6年能登半島地震でも「地震地域係数0.9」の地域で震度6強が発生した

令和6年元日に発生した能登半島地震でも、地震地域係数が0.9に設定されている石川県輪島市、珠洲市などにおいて震度6強の地震が発生しました。この地域では、大規模な火災も発生するなど、地震による大きな被害を受けています。

 

静岡県では独自に地震地域係数を算出している

近未来に南海トラフ地震の発生が予想される静岡県では、条例により地震地域係数を1.2に割り増すなどの対策を講じています。このように、一部の自治体では現行の地震地域係数を過信せず、独自に算出した数値をもとに地震対策を進めていることも事実です。

 

地震地域係数を過信せずに耐震改修を行うことが重要

地震診断

 

先述したとおり、地震地域係数が0.8~0.9のエリアでも強い地震は発生しています。また、静岡県が独自の指標を算出していることからも分かるように、地震地域係数が1.0の地域だとしても決して油断はできません。地震地域係数を過信せず、これからご紹介する方法で建物の状態を確認し、必要に応じ耐震改修を行って震災に備えましょう。

 

耐震診断で建物の状態を確認できる

リフォーム会社などに耐震診断を依頼すると、建物が強い地震に耐えられる状態にあるかどうかを確認できます。2000年6月に現行の耐震基準となっているため、それ以前の建物は倒壊・損傷の可能性もあります。まずは耐震診断を行いましょう。

 

耐震補強工事で耐震性能を高められる

耐震診断の結果、耐震改修が必要と判断された場合は、耐震補強工事で耐震性能を高められます。完璧な状態を目指さなくても、被災した際に命を守れる最低限の対策をとることも可能です。予算に不安を抱えている方も、まずは耐震補強工事の見積もりを依頼することをおすすめします。

 

まとめ

地震地域係数とは、地域ごとに地震のリスクを算出し、指標に応じて耐震基準を引き下げてもよいという決まりです。しかし、地震地域係数は問題点が指摘されることも多い指標であり、実際に地震地域係数が低い地域でも、住宅の倒壊を招くほどの大きな地震が発生しています。

安心して住宅に住み続けるためには、地震地域係数を過信せずに耐震改修を行うことが大切です。アーバンリフォームでは、正確な耐震診断を行い、お客様のご予算・ご要望に沿った耐震補強工事を行います。耐震性に不安を抱えている方は、ぜひご相談ください。

 

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