住宅に関する保険として、火災保険に次いで知名度が高いものと言えば、地震保険ではないでしょうか。しかし「火災保険には加入しているが、地震保険への加入は見送った」「地震保険はいらないと聞いたため加入していない」という方が多いかもしれません。
この記事では、地震保険に加入するメリットや、契約すべきか否かを判断するポイントを解説します。「地震保険はいらない」という説が本当なのかどうか、あらゆる角度から検証し、大切なマイホームを守るために最適な決断を下しましょう。
地震保険はいらないって本当?
地震保険は、火災保険に追加して加入できる保険です。火災保険ほどではないものの、加入時にまとまった保険料の支払いが必要になるため、加入すべきか悩んでいる方が多いかもしれません。
また、インターネット上などでは「火災保険はいらない」と言われることもあります。果たしてこれが本当なのかどうか、まずは地震保険とはどのような保険なのかを整理しておきましょう。
地震保険の補償内容は「地震」「津波」「噴火」など
地震保険の支払い対象となる損害の種類は、主に以下の3つです。
<地震保険の支払い対象となる損害>
- 地震
- 噴火
- 津波
地震そのものによる被害に加えて、地震に関連して発生する自然災害による損害も補償の対象に含まれます。
地震保険の加入率は約70%
内閣府の発表によると、地震保険に加入している人は、火災保険加入者のうち69.4%とされています。同発表では、火災保険への加入率は約82%とされているため、地震保険は火災保険と比較してやや軽んじられがちな保険と言えるでしょう。
地震保険がいらないと言われる3つの理由
巷では「地震保険はいらない」「加入しなくても問題ない」と言われることがあります。その理由として考えられるのは、以下の3つです。
<地震保険がいらないと言われる3つの理由>
- 一部損とみなされる可能性が高いため
- 火災保険と比較して受領できる保険金が少ないため
- 建築時・リフォーム時に地震対策を済ませたため
それぞれを詳しく見ていきましょう。
一部損とみなされる可能性が高いため
地震により被災したとしても一部損とみなされる可能性が高く、保険に加入する意味がないと考える人が多い点が、地震保険がいらないと言われる主な理由のひとつです。地震保険により支払われる保険金は、損害の状況に応じて以下のように変わります。
【地震保険により支払われる保険金】
状態 | 全損 | 大半損 | 小半損 | 一部損 |
---|---|---|---|---|
支払われる保険金 | 100% | 60% | 30% | 5% |
2016年の熊本地震では、地震保険加入者のうち、約40%が一部損と判断されました。一部損で受け取れる保険金は契約金額の5%のため、仮に契約金額が5,000万円の場合、保険金は250万円しか支払われません。
火災保険と比較して受領できる保険金が少ないため
地震保険の保険金額は少なく、火災保険の保険金額に対して30%~50%に止まるケースが大半です。仮に全損の判定を受けたとしても、住宅の建て直しにかかる費用を全額カバーできるとは限らないため、地震保険はいらないと言われることがあります。
建築時・リフォーム時に地震対策を済ませたため
建築時に「免震」「耐震」などの対策を立てた場合も、地震保険はいらないと判断されがちです。津波や噴火といった被害からは逃れられませんが、震度6以上に対応できる基準の地震対策を済ませていれば、全壊などの大きな被害を避けやすくなります。
地震保険に加入する4つのメリット
先述した理由により地震保険はいらないと言われがちですが、加入すると以下のようなメリットを享受できます。
<地震保険に加入する4つのメリット>
- 被災から30日以内に保険金が支払われる
- 火災保険ではカバーできない保険金が支払われる
- 家財も補償対象に含まれる
- 地震保険控除を適用できる
それぞれのメリットを順番にご紹介します。
被災から30日以内に保険金が支払われる
地震保険の保険金は、原則として請求から30日以内に支払われることが特徴です。被災した直後に補償を受けられるため、早期再建を目指しやすく、精神的な負担も軽減できます。
火災保険ではカバーできない保険金が支払われる
火災保険では、地震が原因で発生した災害に対して保険金が支払われません。地震保険に加入しておけば、最大で時価に対して100%の保険金が支払われるため、より安心して過ごしやすくなります。
家財も補償対象に含まれる
地震保険の補償対象は、住宅だけではありません。家具や家電といった家財も補償対象に含まれるため、自宅を丸ごと失うことになったとしても、自己負担を抑えて生活を再建しやすくなります。
地震保険控除を適用できる
地震保険には控除を適用できます。控除額は年間の地震保険料によって異なり、節税対策ができることもメリットのひとつです。
【地震保険控除の詳細】
年間の地震保険料 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
---|---|---|
50,000円未満 | 全額 | 保険料の1/2 |
50,000円以上 | 50,000円 | 25,000円 |
金額によっては全額を控除できるため、実質的な負担を抑えられます。
地震保険に加入すべきかどうかを判断する3つのポイント
保険の特徴やメリットを知り「地震保険は本当にいらないのかな?」「加入していたほうが安心ではないか?」と悩んでいる方も多いでしょう。そこで、地震保険に加入すべきかを判断するポイントを3つご紹介します。
<地震保険に加入すべきかどうかを判断する3つのポイント>
- 地震が発生する確率が高いエリアに住んでいるかどうか
- 住宅ローン残債が多額もしくは高額な家財を所有しているかどうか
- 地震に伴う被害を受ける可能性があるかどうか
順番に確認していきましょう。
地震が発生する確率が高いエリアに住んでいるかどうか
国土交通省が2020年に発表したデータによると、今後30年以内に首都直下型地震が発生する確率は70%とされています。地震発生のリスクが高いエリアにお住まいの場合は、念のため地震保険に加入しておくと安心です。
住宅ローン残債が多額もしくは高額な家財を所有しているかどうか
先述したように、地震保険の補償対象には家財も含まれます。建物が全壊などの被害を免れても、家財が破損する可能性はあります。高額な家財や貴重な家財を所有している場合も、地震保険への加入がおすすめです。
地震に伴う被害を受ける可能性があるかどうか
沿岸部にお住まいの場合は津波による被害を、山間部にお住まいの場合は噴火による被害を受けるリスクがあります。このように、地震に伴う被害を受ける可能性がある場合も、それぞれの災害を補償対象に含めた地震保険に加入するとよいでしょう。
まとめ
地震保険はいらないと言われることもありますが、万一に備えて加入しておくと安心です。建物だけでなく家財も補償の対象となるほか、津波や噴火による被害も補償されるため、状況に応じて火災保険と併せて加入しましょう。
地震保険への加入の検討と併せて、耐震補強工事を検討することもおすすめします。アーバンリフォームでは、工事前に耐震診断を徹底しています。必要な工事を適正価格でご案内し、築年数が経過した住宅だとしても、現代の新築と変わらない耐震性能を誇る住宅にリフォームすることが可能です。